第171回研究例会 2024.2.17(土)

■日時 2024年2月17日(土) 13:00-15:30

■会場 お茶の水女子大学 共通講義棟2号館102教室
    〒112-8610 東京都文京区大塚2-1-1

*対面のみの開催です。ご来場に際しては、郵送版の例会案内をお持ちになり、大学正門守衛詰所にてお示しください。(当日、南門は閉じております。正門より入構ください)

■アクセス ①東京メトロ丸の内線「茗荷谷」駅から徒歩7分  
      ②東京メトロ有楽町線「護国寺」駅から徒歩8
      ③都営バス「大塚2丁目」停留所下車徒歩1分

*詳しいアクセス方法はお茶の水女子大学HP「交通アクセス・キャンパスマップ」からご確認ください。

■内容

研究発表1 
「アール・ブラウンの作品思想とフォームについての考察:言説と先行研究の分析事例から」
藤井愛子(音楽学・お茶の水女子大学 博士後期課程)

作曲家アール・ブラウン(Earle Brown, 1926-2002)は、美術や文学から影響を受け、著名な作品《December 1952》(1952)に代表される図形楽譜の開発や、「開かれた形式(Open Form)」による不確定性の音楽の試みにより、20世紀のアメリカの前衛音楽を推進した。これらはブラウンの重要な試みである一方で、その生涯に生み出した47の多様な作品の一側面に過ぎず、多くの作品の詳細は未だ明らかになっていない。
今回の発表では、《December 1952》をきっかけとし、ブラウンの作曲と演奏に対する思想を整理した上で、言説による「フォーム(Form)」の思想と、先行研究から観察される幾つかの作品の構造との関係性について検討し、作品内部に存在する音響への思想について考察を行う。

研究発表2 
「音楽分野と美術分野を横断する企画における多角的な表現と鑑賞の可能性:美術展をテーマにした演奏会の実践を通して」
山下暁子(音楽学・東邦音楽大学)

本発表では、ヨックモックミュージアムの「ピカソのセラミック モダンに触れる」展の展示内容をテーマに企画したピアノ演奏会と、関連イベントとして同ミュージアムで行ったトークイベントについて取り上げる。
演奏会において美術作品をイメージすることが、演奏者にとっては表現のヒント、聴衆にとっては鑑賞の助けとなったこと、また、ミュージアムにおいて音楽作品に触れた学芸員やイベントの参加者に影響を与えたことがインタビュー調査などから明らかになった。
音楽には、視覚や言語だと表現しづらい部分を補う、聴覚芸術だからこその効果があり、美術には、直感的にイメージすることができる、視覚芸術だからこその効果がある。単に切り口の1 つとして互いの分野を利用するような、分野で細断されるコラボレーションではなく、相互作用的・双方向的な企画は、多角的な表現と鑑賞を可能にすると考える。

■担当理事:土谷真紀