第172回研究例会 2024.8.10(土)

■日時: 2024年8月10日(土)14:30〜16:30

対面Zoomによるハイブリッド開催
対面参加の会場: 大阪市立東洋陶磁美術館 地下講堂
所在地:〒530-0005 大阪市北区中之島1-1-26

Zoomで参加ご希望の方

コチラより、2024年8月5日(月)正午までにお申し込みください。例会前日までにZoomのリンクをお送りいたします。

■対面会場への交通
①京阪中之島線「なにわ橋」駅1号出口すぐ
②Osaka Metro 御堂筋線・京阪本線「淀屋橋」駅1号出口
③Osaka Metro 堺筋線・京阪本線「北浜」駅26号出口各駅から約400m (大阪市中央公会堂東側)
*美術館南側通用口からご入館いただき、警備窓口で研究例会への参加の旨を伝えて入館登録をお願いします。なお、展示室の参観は有料となりますので、1階エントランスホールでチケットをお求めください。

■テーマ: 「交差する眼差し」

■内容:
研究発表1 
「白髪一雄の絵画」  鈴木慈子(芸術学・兵庫県立美術館学芸員)

白髪一雄(1924-2008)は、床に置いた紙や布の上で、素足で絵の具を塗り広げて描いた。身体の動きが直接的に反映された、新奇な制作方法による絵画は、当時、白髪が属していた前衛美術グループ「具体美術協会」のモットー「人のまねをするな」を体現している。フランスの美術評論家ミシェル・タピエの来日がきっかけとなり、白髪の絵画は、1950年代後半から次々と欧米で展示された。さらにタピエの仲介でパリの画廊と契約を結び、1960年代にかけて、数多くの白髪作品が海を渡った。本発表では、1950年代半ばから60年代の作品を中心に取り上げ、画風の変遷や構図の分析などを通し、「足で描く」という手法にとどまらない、白髪一雄の絵画の持つ豊かさを考える。


研究発表2 
「縄文土器の立体造形のしくみを読みとく ―模刻と創作を通して―」 重松あゆみ(陶芸・京都市立芸術大学名誉教授)

縄文土器の立体的な装飾造形は謎が多く魅力的であり、実物を観るたびに多くの新しい気づきを与えてくれます。考古学では時代や地域によって変化する様式が深く研究され、その象徴性が語られ、美術においては直感的な神秘性や原始性から扱われることが多い縄文の造形ですが、いまだ造形物としての客観的視点は乏しいと感じます。
実物を観察し、実際に模刻してみると、見ているだけでは分からなかった造形の仕組みを分析することになり、土器が理性的な造形思考によって緻密に制作されたことが解ります。私は土器と同じ紐づくりで陶立体作品を制作していますが、近年は縄文土器の仕組みを発想に取り入れ、複雑な構造を持つ造形表現に展開しています。例会では模刻の過程や作品を紹介いたします。

■担当理事: 中西 學